最強のふたり

ヒューマンドラマ

作品情報

原題Intouchables
上映時間112分
監督イリヴィエ・ナカシュ、エリック・トレダノ
メインキャストオマール・シー、フランソワ・クリュゼ
公開2011年

あらすじ

パラグライダーの事故で重度の頚髄せいずい損傷をおったフィリップは介護士を探すために面接を開く。そこに失業手当のサインだけを求めに来たドリスはひょんなことからヘルパーになってしまう。大富豪のフィリップと貧乏育ちのドリスの間に次第に深い友情が芽生えていく。笑いあり、感動ありのフランスのヒューマンドラマ映画。

感想

最強のふたりは、僕がめちゃくちゃ好きな映画の一つだ。実話がベースとなっており、ドリスが黒人になっているなどの点は若干印象操作感はあるが、そんなの関係ないほど面白い。

貧困出の健康な黒人障害を持った裕福な白人というわかりやすく交わらないであろうふたりが互いを認め合い、ともに笑って、なんの偏見もなく同じ立場で接しているこの映画は、見る人に感動と勇気を与える。

ブラックジョークのオンパレード

僕はこの映画のブラックジョークが大好きだ。日本人的にはあまりブラックジョークの文化がなく、笑っていいのかわからないという人も多いと思うが、深いことは考えずに笑おう。

まず、『健常者用のチョコ』これはだいぶスレスレというかほぼアウトな感じもするが、チョコに健常者も障がい者もあるわけない。だがドリスの笑いにつられて思わず笑ってしまう。

『人生の目的はサインを書くことか?笑』初対面でこれを言っているのがまず面白い。元々はフィリップに”人生の目的は?”と聞かれたために、お返しとして聞いたのだがかなりパンチが聞いている。

『ナチス風の障がい者』これはだいぶ黒。笑えない。一番笑ったが。ナチスは障がい者を迫害した過去がある。そんなナチスを支持している障がい者というシチュエーションンを想像しただけで結構くる。

これはどちらかというと皮肉に近いが、ドリスの弟が友達とサッカーをしに行くときに言ったセリフで『乗馬に行ってくる』というシーンも何気に好きだ。”貧困層のしかも黒人の俺が乗馬に行くわけないけどな”という裏のいみが伝わってくる。

ドリスの魅力

ドリスはひょうきん者でヤンチャな奴、良くも悪くも空気が読めない。一見どうしようもない奴に見えるが、実は面倒見のいい兄貴気質だ。ある意味ヘルパーの仕事は天職かもしれない。更に地頭がいよく、ユーモアのセンスがある一面も持っている憎めない性格。そんな彼がフィリップと出会い、成長していく姿は見ていて気持ちがいい。やりたくないことを拒否し続け、最終的にやるという茶番はどこか日本のお笑いに通じるものがある。常にニコニコしていてなんでも楽しめる精神は見習いたい。教養が乏しいせいか、いい意味で誰に対しても平等で気を使わないところがフィリップにも気に入られている。

対照性が友情を生む

上記の通り、フィリップとドリスは別世界に住んでいるといっても過言ではないくらい対照的だ。リッチで高水準の教養をもつ白人障がい者フィリップとお金がない大家族出身のおそらくまともに学校に行っていないであろう黒人健常者。しかし本作では全くと言っていいほど似ていない二人だからこそ互いを尊敬しあい、魅力にひかれるのだと思う。そして長い時間を共に過ごすことでお互いにちょっとずつ似ていく。

真面目過ぎたフィリップは、ちょっぴり悪いことを覚えたり、砕いた言い回しをすることが増えた。

例えば、マリファナを初めて吸ってみたりコールガールを呼んで楽しんだり、またドリスと一緒にスポーツカーで違反し、警察をからかったりすることまでするようになった。”車いすで轢くぞ”は面白すぎて笑った。

逆にドリスは、はじめは乱暴で芸術にも疎い天然だったが、最後は性格も大人になり頼れる存在になっていた。

違反駐車を注意するシーンでは最初相手をぼこぼこにする勢いだったのに、終盤では礼儀正しく注意していたり、まったく興味がなかった芸術分野に自身の作品を通じて詳しくなっていたりして成長がすごい。”ゴヤの絵が飾ってあるね””今の言葉は詩みたいだ”なんて言葉まで出てきた。

本作のメッセージ

この映画には友情物語以外のメッセージががある。

まず人生の目的だ。序盤でフィリップがドリスに聞いたことだ。それに続けて”他人の世話になるのは気が引けたり良心が咎めたりしないのか?”と言った。映画が進むにつれてドリスが成長し、他人の世話になる人間から他人を世話する人間になっていったのは興味深い。

そしてもう1つが障碍者に対する接し方だ。もちろん他人をいたわる気持ちは大事だが、そこに”障がい者だから”という言葉は必要ない。

フィリップもこう言っていた

情け容赦ないところがドリスのいいところだ。

いらないよ情けなど。あいつ電話を差し出すんだうっかりとね。

私に同情していない証拠だよ。

体が大きくて、手足があって、健康で脳みそだってちゃんと働く。

あいつがどこからきて過去に何をしたかなんて私にはどうでもいいことだよ。

フィリップ

たしかに普通の人と完全に同じように接するのは難しいかもしれない。しかし無意識に僕たちは余計な心配や同情をしているのは確かだ。

そんなフィリップだからこそブラックジョークも笑えるのかもしれない。

好きなシーン

一つ目が『フィリップの誕生日パーティー』だ。

いつも通り生のクラシック演奏会を開きみんなで鑑賞しつつましい雰囲気で終わるのかと思いきや、ドリスがお気に入りの曲をかけ、プチダンスパーティーを開催するシーン。自分が楽しいと思うことを全力でやり、周りを巻き込んでいくのは気持ちがいい。ほっこりニヤニヤポイント高い。

そして二つ目が『雪合戦』のシーン。なんか超ジワる。フィリップは当然動けないのでただひたすらドリスが当てる一方的な雪合戦。ほぼサンドバック状態である。しまいにはフィリップが一番楽しそうなのが余計に面白い。

最後はやっぱり『ラストシーン』

海の見えるレストランにやってきた二人だが、ドリスが”俺は席を外す。安心して、もうすぐデートの相手が来るから”と言って席を後にしたシーン。フィリップに内緒でデートを組んでいた。そして最後に”遅くなったけど、見つけたよ。彼女によろしくな。”と言い、前に盗んだファベルジェの卵をおいて外に出る場面は粋すぎる。さらにその女性とは一度会うチャンスを自ら逃しているため初対面。イケメン過ぎるだろ。しかもBGMとかかるタイミングが絶妙でなんか説明しづらい気持ちになる。これは完全に泣かせに来てるといっていいだろう。映画を見ていて悲しいとか寂しい以外の場面で泣きそうになるのはなかなか珍しいと思う。

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