アメリカンヒストリーX

クライム

作品情報

原題American Hidtory X
上映時間120分
監督トニー・ケイ
メインキャストエドワード・ノートン、エドワード・ファーロング
公開1998年

あらすじ

白人至上主義を掲げDOCという団体を結成した一人であるデレクを兄に持つ弟のダニーは、ネオナチ思想に染まりつつあった。ある日刑期を終え3年ぶりにデレクが帰ってきた。リーダーの帰還かと思われたが、デレクは刑務所生活を経て改心していた。そんな彼が自分と同じ道を歩もうとしている弟に語りかけ、ダニーも次第に傾いていく。差別と偏見がもたらす犯罪の悪循環、アメリカに長きにわたってはびこる人種問題を題材にした映画になっている。

ネタバレ感想

デレクのモデルになった人物

実はデレクにはモデルとなった人物がいる彼の名はFrank Meeink (フランク ミーインク)彼は13歳でスキンヘッドのギャングに入り、18歳になった頃にはギャングのリーダー兼ネオナチの勧誘員となっていた。その年の頃ある男性を誘拐し、別の男性を数時間にわたって理不尽に殴打した罪で3年間刑務所で過ごした。そこで多くの民族の人と出会い、共通のスポーツへの関心などから親しくなっていき、自己の思想を改めることができた。彼は出所後、人種差別などに対する講演活動やアイスホッケーチームの設立をし、社会に貢献しているようだ。

そもそもネオナチとは

ネオナチとは一般的にナチズムを復興させようといった思想運動のことをさす。反ユダヤ主義やイスラム恐怖症、アジア人迫害、黒人差別などの人種的優位性を主張する、いわば白人至上主義的な思想。

アメリカン・ヒストリーX

この映画の面白さは、ダニーと視聴者を重ねることができるところにある。ダニー(視聴者)に対してレポートという形でkの問題に対する課題が出され、デレクの物語を通じて、人種問題について何を感じ、どうするかということを考えさせられる。

アメリカでは特に異人種に対する偏見が根強くある。それに加え、ダニーは小さいころから父や兄の思想に触れているため自然と潜在意識に偏見が根付いた。これはおそらく多くの人に当てはまるのではないだろうか。現にアメリカではアフリカ系アメリカ人の犯罪率が極めて高い。これは育った環境による教養の低さ、そして貧富の差が激しいアメリカによって加速している。

冒頭が黒人グループの犯行シーンから始めるのも僕たちに一定の偏見を映画内に抱かせるためであると感じた。

そしてデレクが刑務所内である黒人の優しさに触れ、徐々に打ち解けていくシーンは、それまで持っていた悪いイメージとのギャップでより胸がほっこりするものとなっている。

夜が明け、ダニーがレポートを完成させる。

しかしデレクと視聴者の嫌な予感通りダニーは黒人の子に撃たれて死んでしまう。

かなり胸糞悪いが、ハッピーエンドで終わらないところにシリアスさとメッセージ性が表れていていい終わり方だと感じた。あとあげて下げるのがうまい。

これが僕の学んだことで、僕の結論だ。

憎しみとは耐え難いほど重い荷物

怒りに任せるには、人生は短すぎる

レポートの最後は先人の言葉を引用してしめくくる

”我々は敵ではなく友人だ、敵になるな。激情におぼれて愛情の絆を断ち切るな。仲良き時代の記憶をたぐりよせれば、良き友に慣れる日は再び巡ってくる”

アメリカンヒストリーX ダニー

この言葉はエイブラハム・リンカーンが米国第16代大統領としての最初のスピーチからの引用である。

この演説は1861年に行われているが、この年はアメリカで南北戦争が勃発した年でもある。そしてこの南北戦争は南北の奴隷制度の違いによって引き起こされている。

さらにこの南北戦争が終結した直後にあの有名な秘密結社であるKKK(クー・クラックス=クラン)が誕生し、白人至上主義的思想をよりアメリカ全土にしんとうさせている。

この3つのつながりはおそらく偶然ではない。ただの言葉の引用ではなく、その背景と意味を合致させているあたりセンスを感じる。すき。

Xの意味

アメリカンヒストリーXの『X』は不定を表している。ダニーの課題のテーマは「デレクの思想が現代のアメリカで生きるダニーにどんな影響をもたらしたのか?」というものだったが、この問題は現在や近い過去だけの話ではなく、常にアメリカの歴史の一部であり、おそらくこの映画のように異人種同士のすれ違いから続くだろう。これは本作のメインテーマであり、アメリカが長きにわたって直面している社会問題でもある。この映画のキャッチフレーズでは『SOME LEGACIES MUST END』という言葉が使われてるように、この残酷な争いはなくなってほしいと思う。

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